【学習障害の子どもの心理】自己肯定感を高める具体的な関わり方

こんにちは。

教室長の言語聴覚士西村千織です。

私たち寺子屋ゆずでは、多くの学習障害のあるお子さんに対して個別指導を行っています。

今回の記事では、日々の支援を通して見えてくる、お子さんたちの心の特徴と効果的なサポート方法についてお伝えしたいと思います。

学習障害のあるお子さんの心の特徴

学習障害のあるお子さんは、知的能力に問題がないにもかかわらず、特定の学習領域で困難を抱えています。

この状況は、お子さんの心理面に大きな影響を与えることがあります。

自己肯定感の低下

授業についていけない、宿題が終わらないなどの経験が重なることで、「自分はダメな子だ」という思い込みが強くなりがちです。

当教室に通う小学4年生のAさんは、入室当初「私は勉強が苦手だから、どうせできない」と口にすることが多く見られました。特に、学校での失敗体験が積み重なると、学習への意欲が著しく低下し、自己肯定感の低下につながっていきます。


この悪循環を断ち切るためには、「できない」部分に注目するのではなく、お子さん一人一人の「得意なこと」「好きなこと」を見つけ出し、そこから学習への意欲を引き出していくことが重要です。

失敗への過度な不安

学習障害のあるお子さんの多くが、失敗することへの強い不安を抱えています。

「また間違えてしまうかも」という予期不安から、新しいことに挑戦することを躊躇する傾向があります。

特に算数の文章題や、長文読解などの複雑な課題に直面した際に、取り組む前から諦めてしまうケースが目立ちます。


この不安は、単なる気持ちの問題ではなく、過去の失敗体験や周囲からの否定的な反応によって形成された、深い心の傷が原因となっていることが少なくありません。

他者との比較による自信喪失

クラスメートと自分を比べて「なぜ自分だけができないのか」と悩む子どもが多くいます。

特に学年が上がるにつれて、この傾向は顕著になります。


学習の遅れが目立ってくると、周囲との差を強く意識するようになり、さらに自信の喪失につながっていきます。

心の健康面での課題

学習障害は、単なる学習上の困難だけでなく、お子さんのメンタルヘルスに様々な影響を及ぼします。

特に思春期に入ると、その影響はより複雑になっていきます。

学習意欲の低下

繰り返される挫折体験により、学習全般への意欲が低下します。

特に読み書きに困難がある場合、教科書を開くこと自体に強い抵抗を示すことがあります。

中には、体調不良を訴えて学校を休みがちになるケースも見られます。


寺子屋ゆずでは、このような状況に陥るお子さんに対して、まず「安心できる場所」を提供することから始めています。

学習の前に、得意な活動を取り入れるなどして、少しずつ自信を取り戻していけるよう支援しています。

対人関係のストレス

グループ活動や課題の遂行に時間がかかることで、友達との関係に悩む子どもも少なくありません。

「みんなの進度に追いつけない」「周りに迷惑をかけている」という思いから、次第に人間関係から距離を置くようになることもあります。


このような社会的な引きこもりを防ぐためには、早期からの適切な支援と、周囲の理解が不可欠です。

不適応行動の出現

学習への不安や焦りが、落ち着きのなさや攻撃的な行動として表れることがあります。

これは、フラストレーションの表れであり、適切な支援が必要なサインです。

時には、感情のコントロールが難しくなり、突発的な行動として表れることもあります。


このような行動の背景には、必ず何らかの理由があります。

私たちは、その行動の意味を理解し、適切な対応を心がけています。

効果的な関わり方のポイント

「できない」ではなく「どうすればできるか」という視点で支援することが重要です。

寺子屋ゆずでは、以下のような関わり方を実践しています。

スモールステップの設定

学習障害のあるお子さんにとって、大きな課題は時として圧倒的な壁として感じられます。

そこで重要になるのが、スモールステップによる目標設定です。


例えば、漢字学習では1日2文字から始める、計算問題は5問ずつに区切るなど、達成可能な小さな目標を設定します。

小さな成功体験を積み重ねることで、「やればできる」という自信が芽生え、次第に学習への意欲も高まっていきます。

当教室のBくんは、このアプローチにより、半年かけて少しずつ学習時間を延ばすことができ、今では集中学習が可能になりました。

得意分野を活かした学習

学習障害のあるお子さんは、その特性によって得意・不得意がはっきりしています。

視覚的な理解が得意な子どもには図や表を活用する、聴覚的な理解が得意な子どもには音声教材を活用するなど、個々の特性に合わせた学習方法を取り入れることで、学習効率が大きく改善することがあります。


当教室では、iPadなどのデジタル機器も必要に応じて活用し、お子さんの学習スタイルに合わせた学びの方法を提供しています。

承認と励まし

教室での指導において最も大切にしているのが、お子さんの努力を認め、適切に励ますことです。

小さな進歩も見逃さず、具体的に褒めることを心がけます。

「ここまで頑張れたね」「前回より時間が短くなったね」など、努力のプロセスを認める声かけが、お子さんの自信につながります。


また、失敗した際には、その原因を一緒に考え、次への改善点を見つけ出す姿勢を大切にしています。

家庭でできるサポート

家庭は子どもが最も安心できる場所です。

学校や教室での支援に加えて、家庭での適切なサポートがあることで、お子さんの成長はより確かなものとなります。

子どもの気持ちに寄り添う

学習障害のあるお子さんの支援で最も重要なのは、その子の気持ちに寄り添うことです。

「なぜできないの?」という叱責ではなく、「どんなところが難しい?」と具体的に聞きながら、子どもの困り感を理解することが大切です。


時には、学習から離れて好きな遊びや趣味の話をする時間を設けることも有効です。

このような何気ない会話の中で、お子さんは自分の気持ちを素直に表現できるようになり、親子の信頼関係も深まっていきます。

家庭学習の工夫

家庭での学習環境づくりも、重要なサポートの一つです。

時間を決めて短時間で取り組む、休憩を適切に入れるなど、子どもの集中力に合わせた学習環境を整えることが大切です。


視覚的な手がかり(タイマーや学習手順表など)を活用することで、自主的な学習習慣を育てることができます。

また、宿題や課題に取り組む際は、お子さんの様子を見守りながら、必要に応じて適切なヒントを提供することも効果的です。

専門家との連携

学校の先生や支援の専門家と定期的に情報交換を行い、子どもの状況や進歩を共有することが重要です。

必要に応じて、医療機関や発達支援センターなどの専門機関につないでいくことも検討しましょう。

支援者間で情報を共有し、一貫した支援を提供することで、お子さんの成長をより効果的に支えることができます。

まとめ

学習障害のあるお子さんへの支援では、学習面だけでなく心理面へのケアが不可欠です。

一人一人の特性や困難さは異なりますが、適切な理解と支援があれば、必ず成長の可能性が開かれていきます。


私たち寺子屋ゆずでは、これからもお子さん一人一人の特性を理解し、その子に合った支援を提供していきたいと考えています。

お子さんの学習や心理面での気になる様子がありましたら、お気軽にご相談ください。

専門家として、ご家庭に寄り添った支援方法を提案させていただきます。

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