新学期、担任の先生に特性をどう伝える?発達に特性のある子のための“伝え方”と関係づくりのコツ

こんにちは。教室長で言語聴覚士の西村千織です。

いよいよ新年度を迎えますね。今回はお子さんの進級・進学を控えた保護者の方に向けて、新しい担任の先生にお子さんのことを上手く伝えるコツについて、ご紹介します。

新学期は「わかってもらえないかもしれない」が生まれやすい時期

春、新学年のスタートとともに、担任の先生も変わることが多いですよね。
これは発達に特性のあるお子さんやグレーゾーンのお子さんにとって、小さくない環境の変化です。

親としても、「去年の先生には伝わっていたことが、今年の先生にはまた一から説明しなきゃ…」と、気が重くなってしまう時期です。
しかも、その“説明”がうまく伝わらないと、子どもが学校で困ったり、誤解されたりすることも。

「わかってもらえないかもしれない」
「“配慮してください”って言うと、先生に気を悪くされないかな…」

そんな気持ちが先立ってしまい、結局何も伝えられなかった…という声もよく聞きます。

しかし、伝えなければ、先生は“困っているサイン”を見落としてしまいます。

「特性名」より「具体的な困りごと」を伝える

先生に伝える際、多くの保護者が「ADHDです」「ディスレクシアです」「グレーゾーンです」と特性名だけを伝えてしまうことがあります。

けれど実は、特性名だけでは先生には伝わりにくいのです。

大事なのは、

「どんな場面で」「どのように」「何に困っているか」 を具体的に伝えることです。

たとえば:

  • 「音に敏感で、チャイムやざわついた教室では落ち着きを失いやすいです」
  • 「板書に時間がかかるので、ノートを取るよりプリントで対応していただけると助かります」
  • 「指示を受けたとき、“全部できない”と思い込んで落ち込む傾向があります」

といった形で、“今のわが子”に必要な配慮が伝わると、先生も理解しやすくなります

ここでのポイントは「先生の負担にならない伝え方」と「わが子の安心につながる内容」を両立させることです。

先生との“信頼関係”は、いきなり完成しなくて大丈夫

実は、最初から完璧にわかってもらえなくても大丈夫なんです。

大切なのは、「一緒に考えてくれる先生」を少しずつ“味方”にしていくこと。
そのためには、保護者も「困っているのは先生も同じかも」という視点を持つと、自然と伝え方も変わってきます。

たとえば連絡帳で、「今日もご対応ありがとうございました。少し気になる様子がありましたら、気軽に教えていただけると助かります」のように、先生を責めずに“協力関係”を築くスタンスがあると、とてもスムーズになります。


時間的に余裕があるときに、文書で整理した「配慮ポイント」を先生にお渡しできるとベストです。

例えば以下の点に留意して書くと先生も気持ちよく読んでくれます。

  • 感謝の言葉を添える→「お忙しい中読んでいただきありがとうございます」
  • “困りごと”だけでなく、“今できていること”も入れる
  • 「できればこうしていただけると助かります」というやわらかい表現にする

例文:

「音に敏感な特性があり、授業中ざわつくと集中が切れやすいです。可能な範囲で、静かな環境を意識していただけるとありがたいです。」

“伝えること”は、先生との関係を築くための第一歩です。
上手に伝えることで、先生にとっても「この子のサポートのヒントがわかった」と思ってもらえるはずです。

「クレーム」と「相談」の違いを意識する

多くの保護者が「うるさい保護者だと思われたら…」という不安を抱えています。だからこそ、「伝え方」はとても大切です。

そのカギは、「困っているのは私たちも先生も同じ」というスタンスで話すこと。

✔️ NG例:「ちゃんと見てください」「前の先生はもっと対応してくれました」
✔️ OK例:「こういう場面で戸惑ってしまうことがありまして…私もどうしたらいいか考えていて…」

相手を責めるのではなく、「一緒に考えてくれたら嬉しいです」という姿勢を持つと、先生側も話を聞く準備が整います

寺子屋ゆずでは、こんなサポートもしています

寺子屋ゆずは「個別学習塾」ですが、単に“学習の教え方”を変えるだけの場所ではありません。

私たちが大切にしているのは、子どもの学習と生活がスムーズにつながることです。

そのために:

  • お子さんの特性を言語聴覚士が丁寧に評価
  • その結果をもとに、先生に知ってほしいお子さんのつまずきポイントを保護者の方と共有
  • 保護者の方が学校とやりとりする際の「言い方」「伝え方」の相談にも対応

「うまく言葉にできない」

「自分の伝え方に自信がない」

そんな時にこそ、ご相談いただければと思います。

“困ってから”ではなく、“困る前に”備える

そのお手伝いができるのが、寺子屋ゆずの強みです。

まとめ:特性を伝えることは、「わが子の安心」を増やすこと

発達に特性があるお子さんにとって、安心して学べる環境はとても大切です。
そのためには、「わかってくれる大人」が学校に一人でもいることが、何よりの支えになります。

担任の先生と良い関係を築くことは、保護者にとっても、子どもにとっても、かけがえのない安心の土台になります。

どう伝えたらいいか分からない時、「こんなことで悩んでいる」と言いにくい時、ぜひ、寺子屋ゆずにご相談ください。

新しい一年が、お子さんにとって「わかってもらえる」スタートになりますように。