
「読み書きが少し苦手で、小学校の英語の授業が分からないみたいです」
そう話してくださったのは、あるお子さんの保護者の方でした。
ご相談に来られたのは、小学校高学年の頃でした。
中学校での英語の授業に備えて、学習塾を探しておられたそうです。
今回ご紹介するのは、読み書きに苦手さがあり、英語にも不安を感じていたBくんの事例です。ゆずでの学びを通して、Bくんがどのように少しずつ前向きな変化を見せていったのかをお伝えします。
同じように「英語が心配」「読み書きが苦手でこの先が不安」と感じておられる保護者や支援者の方にとって、何か参考になることがあれば嬉しく思います。
Bくんのプロフィールとつまずき
Bくんは、読み書きに少し苦手さがあるタイプのお子さんでした。
特に、音と文字が結びつきにくいという特徴があり、文字を見てもすぐに音が思い浮かばなかったり、覚えたはずの文字を思い出すのに時間がかかったりすることがありました。
そのため、英語についても最初から「英語は難しそう」「自分には無理かもしれない」という気持ちが強かったようです。
一方で、Bくんにははっきりとした得意なこともありました。
それは工作です。
手を動かして何かを作る活動では、驚くほど集中力を発揮します。
細かな作業も丁寧で、「作ること」がとても好きなお子さんでした。
その様子を見ながら、私たちはこう考えました。
「苦手なことを無理に押しつけるのではなく、得意なことを入り口にできないだろうか。」
Bくんの好きなことを大切にしながら、英語の学びへとつなげていく方法を一緒に探していくことにしました。
ゆずでの学びのスタート
中学校英語への準備として、ゆずではまずアルファベットの大文字とフォニックスから取り組むことにしました。
フォニックスとは、文字と音の関係を学ぶ方法です。英語の文字がどのような音を表しているのかを理解することで、単語を読みやすくする土台になります。
ただ、最初からノートやプリントだけで進めると、Bくんにとっては負担が大きくなってしまうかもしれません。
そこで、Bくんの得意な工作を生かし、小麦粘土でアルファベットを作る活動から始めることにしました。
粘土をこねて形を作りながら、
- 音を聞く(聴覚)
- 文字を見る(視覚)
- 手で形を感じる(触覚)
という、複数の感覚を使った学びを取り入れていきました。
「作ることが好き」というBくんの気持ちが、自然と英語への入り口になっていったのです。
具体的な取り組みの様子
ゆずでの学習は、おおむね次のような流れで進めていきました。
まずは、その日に扱うアルファベットの音をフォニックスで確認します。
たとえば「B」の音を一緒に声に出してみます。
そのあと、小麦粘土を使ってその文字の形を作ります。
指先で形を整えながら、「B、b」と音を確認します。
さらに、作った文字を机の上に並べて、指でなぞりながら声に出して読む活動も行いました。
こうして少しずつ大文字が定着してきたところで、小文字の学習にも取り組み始めました。
もちろん、英語のアルファベットは決して簡単ではありません。一つの文字に複数の読み方があることもあり、戸惑うこともあります。
それでも、Bくんのペースを大切にしながら、「今日はここまでできたね」「この形、きれいに作れたね」と、一つ一つの小さな達成を一緒に喜びながら進めていきました。
その表情には、少しずつ安心感や自信が見えるようになっていきました。
「だって、ゆずで勉強してるから。」
取り組みを続けていくうちに、Bくんの中で英語のイメージが少しずつ変わってきました。
最初は「英語=こわいもの」という印象が強かったのですが、「がんばれば、少しずつわかるかもしれない」という気持ちが芽生えてきたようでした。
そんなある日、保護者の方からこんなご報告をいただきました。
「この休みに語学研修に行くんです。自分から行きたいって言ったんです。そんな気持ちになったことが嬉しくて……」
驚きながら詳しく聞いてみると、ご家庭でこんな会話があったそうです。
「どうして語学研修に行きたいって思ったの?英語は嫌いじゃなかった?」そう尋ねると、Bくんはこう答えたそうです。
「だって、ゆずで勉強してるから。」
その言葉を聞いたとき、私たちも胸があたたかくなりました。
英語が得意になったわけではありません。
すべてが簡単になったわけでもありません。
それでもBくんの中には、「自分にもできるかもしれない」という感覚が、少しずつ育ってきているのだと感じました。
このような感覚は、心理学では自己効力感と呼ばれることもあります。
「自分は挑戦してみてもいい」と思える気持ちは、子どもたちが学び続けていくうえでとても大切な力です。
現在の様子とこれから
Bくんは現在も、ゆずで英語の学習を続けています。
アルファベットやフォニックスに少しずつ慣れてきたことで、最近では単語や簡単な文にも挑戦するようになってきました。
もちろん、うまくいく日ばかりではありません。
迷うことや、時間がかかることもあります。
私たちがBくんと共有しているのは、「急がなくて大丈夫」というメッセージです。
一歩一歩、自分のペースで進めばいい。
その歩みは、決して小さなものではありません。
お子さんの好きなことや得意なことを入り口にすると、学びの世界は思っているよりも広がりやすくなることがあります。
Bくんの姿は、それをあらためて教えてくれています。
保護者の方へ伝えたいこと
英語に限らず、「読み書きが苦手」と感じられる背景には、情報の受け取り方や処理のしかたの違いが関係していることが少なくありません。
だからこそ、「できない」と感じてしまう部分だけを見るのではなく、
- どんな方法なら理解しやすいのか
- どんな得意な力があるのか
- どんな入り口からなら学びやすいのか
を一緒に考えていくことが大切だと、私たちは感じています。
そうした視点で関わってくれる場所があると、お子さんにとっても、保護者の方にとっても、少し気持ちが楽になることがあります。
もし、「うちの子も英語が心配」「読み書きが苦手で、この先が不安」と感じておられる方がいらっしゃいましたら、どうぞ一度ご相談ください。
お子さんの得意なことや好きなことを大切にしながら、その子らしい学び方を一緒に見つけていければと思っています。
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