宿題になるとすぐ立ち歩いてしまう|「やる気」以外の4つの理由

こんにちは。こども発達LABO.理学療法士の西村猛です。


寺子屋ゆずでは、「宿題になるとすぐ席を立ってしまいます」「5分ももたないんです」「毎日、親子でバトルになります」というご相談をよくいただきます。

保護者としては、「もう少し頑張ってほしい」という思いがある一方で、「どうしてできないんだろう」と悩んでしまいますよね。

今日は、「宿題中の立ち歩き」について、少し違う視点から考えてみたいと思います。

宿題になると、すぐ席を立ってしまうお子さんはいませんか?

夕方、学校から帰ってきて宿題の時間。

「さあ、そろそろ宿題しなさい」と声をかけると、最初は机に向かいます。

でも、5分もしないうちに、「トイレ行ってくる」「お茶飲んでくる」「鉛筆がない」「消しゴム探してくる」と、何かしら理由をつけて席を立ってしまうことがよくあるのではないでしょうか。

そして、「ちゃんと座りなさい!」と声をかけると、「今やろうと思ってた!」「うるさい!」「もうやりたくない!」と怒ったり、ふてくされたりして、親子バトルになってしまう。

そんな毎日を繰り返しているご家庭も少なくないと思います。


もし、「うちだけかな…」と感じているのであれば、安心してください。

これは、寺子屋ゆずでも本当によくいただくご相談のひとつです。

もちろん、すべてのお子さんに当てはまるわけではありませんが、実はこの「立ち歩き」には、やる気だけでは説明できない理由が隠れていることもあります。

多くの保護者が最初に考えてしまう3つのこと

お子さんが立ち歩くと、多くの保護者がまず次のように考えます。

①「やる気がない」「サボっている」

毎日同じことが繰り返されると、「結局、やる気の問題なんじゃないの?」と思ってしまいますよね。

保護者としては、何とか勉強に向かってほしいという思いがあるので、そう考えてしまうのは自然なことです。


ただ、もし本当にやる気だけの問題なら、好きなことでも同じようになるはずです。

実際には、「ゲームは集中できる」「工作は長時間できる」「好きな動画は見続けられる」ということも少なくありません。

すると、「やる気がない」だけでは説明しきれない部分が見えてきます。

②「甘やかしてきたから、こうなったのかもしれない」

時々、保護者の方から「私の育て方が悪かったのでしょうか」という言葉を聞くことがあります。

ですが、必要以上にご自身を責める必要はありません。

お子さんの行動は、親の関わりだけで決まるものではありません。甘やかしと立ち歩きには、直接的な因果関係はありません。


そのことよりも、体の使い方、脳の特性、環境との相性など、さまざまな要素が重なって起こっていると考えるのが妥当です。

③「性格の問題(落ち着きがない子)だ」

「この子は昔から落ち着きがないんです」というお話もよく聞きます。

ただ、「落ち着きがない」という言葉だけでまとめてしまうと、その背景(お子さんの困りごと)が見えなくなってしまいます。

なぜ落ち着かないのか。

何がしんどいのか。

どんな場面で起きやすいのか。

そこを丁寧に見ていくことが大切です。

座っているだけでしんどい子どもたち

理学療法士としてお子さんを見ていると、「座っているだけで疲れてしまう子」が少なくありません。

私たちは、普段あまり意識していませんが、椅子に座り続けることにも体の力を使っています。

特に重要なのが、「体幹」です。

体幹とは、姿勢を支えるための土台になる部分です。

ここが未熟だったり、疲れやすかったりすると、座っているだけでもかなりのエネルギーを使います。

すると、

  • 背もたれにどんどんもたれかかる
  • 机に突っ伏す
  • 椅子の上で正座をする
  • あぐらをかく
  • 足をぶらぶらさせる

といった姿が見られることがあります。

これは、「少しでも楽な姿勢を探している」サインかもしれません。


大人で例えるなら、長時間の立ちっぱなしでの会議に似ています。

1時間も立ち続けていると、「少し座りたい」「体勢を変えたい」と思いますよね。


子どもによっては、それが宿題開始5分で起きていることがあります。

だからこそ、「じっと座っていられない=やる気がない」とは限らない、と言えるのです。

今の座り方や、机と椅子の高さ、体幹の発達などがその子に合っていないと、どうして立ち歩きたくなることがあるのです。

まずはこの観点でお子さんを見ていただくことをおすすめします。

目や感覚の使い方がしんどくて、立ち歩いてしまうことも

宿題では、実はたくさんの体の機能を使っています。

  • 教科書を見る
  • ノートを見る
  • 問題集を見る
  • タブレットを見る
  • またノートに戻る

この視線の移動だけでも、目や首、体幹をたくさん使っています。

中には、この作業だけで疲れてしまうお子さんもいます。


また、感覚の特性が影響している場合もあります。

例えば、以下のようなものがあります。

  • 椅子の硬さが気になる
  • 服のタグが気になる
  • 周りの音が気になる
  • 部屋の明るさが気になる
  • エアコンの風が苦手

などです。

大人でも、合わない椅子に座っている時、ガヤガヤしたカフェにいる時、エアコンの風が直接当たる席にいる時などは集中しにくいですよね。

お子さんも同じです。

「宿題をやりたくない」のではなく、「今の環境がしんどい」ということもよくあることです。


つまりお子さんが立ち歩くのは、「今の環境がちょっとしんどい」というサインかもしれない、という視点で捉えていただくと解決方法が見つかりやすくなります。

「立ち歩き」が教えてくれる発達特性のサイン

発達特性が背景にある場合もあります。

特にADHD特性があるお子さんでは、「今やることに注意を向け続けることが難しい」「一度にたくさんの情報を覚えておくことが苦手」「じっとしていると動きたくなる気持ちが強い」という特徴が見られることがあります。

また、「実行機能」と呼ばれる力が関係していることもあります。

実行機能とは、「何から始めるか」「どの順番で進めるか」「終わるまで続けるか」を整理する力のことです。

例えば、「算数の宿題をしよう」と思っても、「プリントを出す」→「筆箱を出す」→「日付を書く」→「問題を読む」→「答えを書く」など、実はたくさんの工程があります。

この段取りだけで頭がいっぱいになってしまう子もいます。


そうなると、立って動いて気持ちを切り替えたり、部屋をうろうろして不安を紛らわせたりすることがあります。

これは、「わがまま」でも何でもありません

そういう脳と体の特徴を持ったお子さんなのです。

叱る前に変えてみたい、環境と時間の工夫

これらを踏まえて、ご家庭で今日から試せる工夫をいくつかご紹介します。

① 時間を細かく区切る

最初から30〜40分座らせようとしなくて大丈夫です。

おすすめは、「5〜10分集中+1〜2分の動ける休憩」です。

また、「この1問だけ一緒にやろう」「このページの半分だけやろう」など、超スモールステップにしてみましょう。

② 座りやすい環境を整える

一度、次のポイントを確認してみてください。

  • 足が床についているか
  • 机が高すぎたり低すぎたりしないか
  • 背もたれが使えているか
  • テレビが視界に入っていないか
  • おもちゃやスマホが近くにないか

少し環境を変えるだけでも、集中しやすくなることがあります。

③ 宿題前に「ちょこっと運動」をする

いきなり座るのではなく、一度動いてから座ることもおすすめです。

例えば、「その場で10回ジャンプ」「壁押しを10秒×3回」「両手を上に伸ばして深呼吸」「肩回しを10回」「その場足踏みを20回」などです。

体に力を入れること(自己刺激を入れる、といいます)は、覚醒レベルを高める効果があるため、座る時間が伸ばしやすくなるお子さんも多くいます。

「ちゃんと座りなさい!」ではなく、声の掛け方を変えることで変化を引き出す

つい、「いい加減ちゃんと座りなさい」「いつまでダラダラしてるの」と言ってしまうことがありますよね。

でも、言われる側のお子さんも、「できないことを責められている」と感じてしまい、さらに動きたくなったり、反発したりすることがあります。


そこで、少し声かけを変えてみましょう。

例えば、「あと3分だけ一緒に座ってみようか」「ここまでできたら、一回立って伸びしよう」「どのページまでやったら休憩にする?」などです。


ポイントは、「一緒にやる」という姿勢です。

親が管制塔になればなるほど、親子バトルは増えやすくなります。


一方で、「一緒にやってみようか」と伴走者の立場に立つことで、関係性も変わり、お子さんも頑張りやすくなります。

毎日完璧にできなくても大丈夫です。少しずつ試していけば十分です。

一人で抱え込まず、専門家を頼っていただいても大丈夫です

ここまで読んで、「うちの子の場合、何が一番のネックになっているのか、自分たちだけでは整理しきれない」と感じておられる方も多いと思います。

また、「叱るだけではよくないと分かっているのに、いざ宿題になると、つい怒ってしまう」という方も少なくありません。


寺子屋ゆず/こども発達LABO.では、実際に通ってくださっているご家庭からも、このようなご相談を、日々たくさんいただいています。


このような場合は、教室長や講師に加えて、必要に応じて理学療法士の私も一緒に入り、

  • 姿勢や体の使い方といった「体」の観点
  • 目の動きやワーキングメモリ(頭の中で一時的に情報を覚えながら処理する力)、実行機能(段取りを考えて行動する力)など「脳の認知」の観点
  • 発達特性や性格、ご家庭や学校の環境といった「その子らしさ」の観点

から、お子さんの「どこが一番しんどそうか」を一緒に整理しながら、保護者の方がどのように関わっていくと良いかを具体的にお伝えしています。


寺子屋ゆずでは、こうしたお話を、初回の無料体験授業・見学の中でもお伝えしていますし、通室後も日々のやり取りの中で、保護者の方からのご相談に随時お応えしています


一方で、距離や時間の都合で教室に通うことが難しいご家庭もあります。

そのような方のために、寺子屋ゆず/こども発達LABOでは、オンライン相談の場もご用意しています。

このオンライン相談は、日常のエピソード(宿題中の様子、学校での様子など)を丁寧にうかがった上で、お子さんの特性や課題を整理し、どう関わっていくかを一緒に考える時間としてご活用ください。

もし今、「叱るしかない」関わり方から一歩抜け出したいと感じておられるのであれば、一人で抱え込まないでください。

教室に通える距離の方は寺子屋ゆずの無料体験授業・見学で、遠方の方や、まずは保護者の方だけで相談したいという方はオンライン相談という形で、いつでもご相談ください。

お子さんに合った関わり方を、一緒に探していきましょう。