【言語聴覚士が解説】「枠の中に字が書けない」原因とサポート方法

はじめに

こんにちは。寺子屋ゆず代表・言語聴覚士の西村千織です。


小学校では、ノートやプリントにある枠やマス目の中にきちんと字を書くことが求められます。

しかし、中には「枠の中にうまく字が書けない」というお子さんがいます。

この状況に悩む保護者の方も少なくありませんが、実はこの問題には様々な理由が考えられ、適切なサポートをすることで改善できる可能性があります。

この記事では、「枠の中に字が書けない」原因や具体的な対策について、わかりやすく解説します。

1. 枠の中に字が書けない理由とは?

「枠の中に字が書けない」ことには、複数の原因が考えられます。以下は、よく見られる原因の一例です。

お子さんに当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

①視覚処理の問題

お子さんが、目で見た情報をうまく処理できない場合、枠や線を意識して字を書くことが難しくなることがあります。

例えば、枠の位置や線の太さが認識しづらかったり、字の大きさや間隔を調整するのが難しかったりします。

こういったお子さんは、普段から「目を上手く使えていない」「探し物が苦手」などの特徴があります。

② 注意力や集中力の問題

字を書くことに集中できず、注意力が散漫になっているお子さんも、枠の中に字を書くのが難しいことがあります。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つお子さんは、特に注意力のコントロールが難しく、枠を意識して書くことが難しい場合があります。

こういった特徴を持つお子さんに対しては「頑張りなさい」などの声掛けは逆効果になるので、注意が必要です。

③筆圧や運筆の不安定さ

鉛筆の持ち方や筆圧が安定しないと、文字がうまくコントロールできず、枠に収めるのが難しいことがあります。

特に、小さな手で力の加減がわからないお子さんにとっては、枠の中に整った文字を書くのはそれだけで難しいとなるでしょう。

これらは、指先の不器用さだけでなく、「固有感覚の弱さ」と上記の「視覚処理の難しさ」を併せ持っている場合があります(感覚統合の問題)。

この場合は、単に「繰り返し練習させる」だけでは改善しづらく、固有感覚や視覚処理を高める取り組みも併せて行う必要があります。

④発達の遅れや学習障害(LD)

学習障害や発達障害が原因で、手先の動きがスムーズでないことがあります。

特に、ディスグラフィア(書字障害)と呼ばれる学習障害では、字を書く際に手指の動きや力の加減がうまくできず、結果として枠に沿って書くのが難しくなります。

2. 家庭でできるサポート方法

では、枠の中に字が書けないお子さんに対して、家庭でできるサポート方法を見ていきましょう。

① 視覚的なガイドを使用する

お子さんが視覚的なガイドを使うことで、枠を意識して書けるようになる場合があります。

例えば、太めの枠や色付きのラインを使ったノートやプリントを用意すると、枠や線がより認識しやすくなります。

② 筆圧や運筆を練習する

鉛筆をうまく持てるようにするために、持ち方の指導や、三角鉛筆などのサポートアイテムを使ってみるとよいでしょう。

また、筆圧を強化するためのゲームや、お絵描きなどの楽しい活動を通じて運筆を練習することも効果的です。

③ ゲーム感覚で練習する

字を書く練習は、お子さんにとってストレスになりがちです。

そこで、枠の中に絵を描くゲームや、字を書く際にシールやスタンプを使った楽しい取り組みを取り入れることで、楽しく練習できます。

これにより、モチベーションが上がり、字を書くことが楽しく感じられるようになります。

④ 専門家のサポートを受ける

もし、家庭でのサポートだけでは改善が見られない場合は、寺子屋ゆずのような学習支援の専門家に相談することも重要です。

専門的なアプローチや、個々のお子さんに適した指導方法を提案してもらうことで、より効果的な支援が可能になります。

なお、寺子屋ゆずでは、学習障害や発達特性に詳しい言語聴覚士がお子さんの学習のつまずきの原因を見つけ、担当講師とともにお子さんの学習課題にあった学習方法をご案内しています。

保護者の方も同席していただけますので、お子さんのつまずきの原因やご家庭でも取り組むべきことについて学んでいただくこともできます。

3. ポジティブな声かけが重要

「枠の中に書けない」という状況が続くと、お子さんが自信を失うことがあります。

またそのことを、学校・一般の塾などでも繰り返し言われ続けることで、自己肯定感が下がり続けていき、最終的には「学びたくない」と学習そのものへの不安や拒否につながることもあります。

そのため、結果に対して叱るのではなく、過程を褒めたり、小さな成功を見つけてポジティブなフィードバックを与えることが大切です。

例えば、「今日は字がとても大きくなったね!」「線の間をちゃんと意識して書けたね!」といった声かけを心がけましょう。

まとめ

お子さんが枠の中に字を書くことが難しいと感じている場合、視覚的な問題や発達の特性、集中力の問題など、さまざまな原因が考えられます。

まずは原因を把握し、家庭でできるサポートを実践しながら、必要に応じて専門家のサポートを受けることが大切です。

お子さんの成長を見守りながら、無理なく楽しく字を書く力を伸ばしていきましょう。

寺子屋ゆずでは体験授業を行っています

寺子屋ゆずでは、体験授業の際に、言語聴覚士がお子さんの特性や学習のつまずきの原因を探ります。

評価結果については、保護者の方に分かりやすくご説明しますので、ご家庭での声掛けや環境作りのご参考にしていただけます。

評価結果は担当講師と共有し、お子さんに合った学習方法によって、勉強を進めていきます。

これまで一般の学習塾に通ったものの、なかなか上手く行かなかった、学習のつまずきに理解してもらえなかった方は、一度寺子屋ゆずの体験授業を受けてみられてはいかがでしょうか。

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